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  • 2014.01.08第8部 矩形ステンレス鋼製配水池の耐震設計について

    7.考察

    矩形ステンレス製配水池の内部補強構造にはいくつかの種類があるが、本文では、より低

    コスト・優れた耐震性を特徴とするブレース付き架構の耐震設計に対して天井ばねの考え方

    を導入して、ブレース材の耐震設計法および安全性評価方法について検討した。

     

    7.1 天井ばね力とブレース材の水平変位分布及びブレース材の軸力分布の関係

    前述の計算結果(表4)または解析結果(図9、図10)から、ブレース付き架構の高さ方向

    における水平変位も各段ブレース材における軸力分布も、単調増または単調減の分布を呈し

    ていなくて、一旦、最大値または最小値を達してから再び減少または増加する分布を呈して

    いる。この理由は、天井ばね力が存在するからである。

    矩形配水池の天井ばね力は、配水池が水平荷重を受けて発生する内部力であり、補強架構

    と側壁の水平せん断剛性における差さえあれば、必ず存在するものである。したがって、実

    際配水池において、縦型組立ばりの上端部に多かれ少なかればね力が作用している。

    側板と補強架構を連結する天井板がなければ、補強架構上端部への拘束がないので、天井

    ばね力がゼロとなって縦型組立ばりが上端フリーの片持ちばりモデルに当たる。一方、側板

    の水平せん断剛性が極端に大きくなれば、天井ばね力が最大値(固定端の水平反力)を取っ

    て縦型組立ばりが両端固定の梁モデルに当たる。つまり、実際配水池における縦型組立ばり

    の上端部の拘束条件は、完全フリーと完全固定の間にあるばね拘束である。

    よって、仮に縦型組立ばりを片持ちばりモデルにブレース材の軸力を計算するならば、ば

    ね力が無視されることになって上段ブレース材の軸力が過少評価されるが下段ブレース材の

    軸力が過大評価されると推測できる。一方、仮に、縦型組立ばりを両端固定の梁モデルに、

    ブレース材の軸力を計算するならば、ばね力が余分に計上されることになって上段ブレース

    材の軸力が過大評価されるが下段ブレース材の軸力が過小評価されると推測できる。

     

     

    7.1計算結果と解析結果の比較検討

     

    5章では、天井ばね力の考え方を用いてブレース付き架構の変位特性、軸力特性について

    検討し、その結果(以下では計算値と称する)は、表4にまとめた。一方、6章では、同じ

    条件下で、3 次元数値解析シミュレーション法を用いて同じ内容について解析し、その結果

    をも(以下では解析値と称する)同表に併記した。ここで、天井ばね力の考え方の妥当性を

    検証するために、解析値を基準値に、両者の結果について比較検討を行う。

     

    表4 ブレース付き架構の変位分布と軸力分布

    10-1

     

    表4の変位結果から、解析値に比較して計算値はやや小さいことと、高さの増大につれて

    両者の開きが大きくなるが全体的にその差が限定的であることが分かった。

    また、表4の軸力結果から、解析値に比較して計算値は下段が小さく上段が大きいがその

    差が僅かであることが分かった。

    以上のように、計算値と解析値の間に一定の差がある比較結果となった。この理由は、計

    算モデルでの剛床仮定に起因すると考えられる。

    図9の変位解析結果から分かるように、天井平面における変位分布は、同一変位に近いが

    完全に満足したわけではない。これに対して、計算値の場合、天井板を剛床に仮定したので、

    両者結果の差をもたらしたと考えられる。言いかえって、計算値の場合、天井板の剛床仮定

    に対して多少の修正を加えれば、両者結果の差がもっと縮小されるでしょうと推測できる。

     

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